最近は、事業再構築補助金などのスター補助金に押され、若干人気に陰りが見られる「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」ですが(笑)、今でも厚労省の助成金の中では一番人気と思われます。
比較的使い勝手もよく、アフターコロナの採用においても活用できますので、令和3年度の改正点も含めて、改めて情報をお伝えいたします。
1.概要
契約社員やパート社員などのいわゆる「非正規社員」を正社員や無期雇用に転換させた場合に支給されます。すでに雇用している者だけでなく、新たに雇用する者も対象となります。
2.支給額
・有期 ⇒ 正規:57万円/人
・有期 ⇒ 無期:28.5万円/人
・無期 ⇒ 正規:28.5万円/人
※生産性要件を満たす場合は、さらに支給額が上乗せされます。
3.主な要件と留意点
・もともと正社員転換や無期転換や約束していた者でないこと
・代表者や取締役の3親等内の親族でないこと
・転換時に「3%以上」昇給させること ← ※改正(前年度は5%)
※昇給幅は3%に緩和されましたが、「賞与」は計算に含めないことになりましたので、基本給や職務関連手当などで3%昇給する必要があります。
※ステップは、1)計画書の提出 ⇒ 2)就業規則の改定 ⇒ 3)転換⇒ 4)6ヵ月経過後に申請、とやや複雑です。また、上記以外にも様々な要件がありますので、パンフレットの読み込みが必須です。
4.人気がある理由
・採用チャネルが不問であること(求人媒体経由や知人の採用でも可)
・対象者は、高齢者や障がい者などでなくてもよいこと
・既存の社員だけでなく、新規採用にも活用できること
※雇入れの代表的な助成金に、「特定求職者雇用開発助成金」がありますが、こちらは対象者が60歳以上、障がい者、母子家庭の母などに限定されており、採用チャネルはハローワーク等に限ります。
5.アフターコロナでの活用
コロナ禍の現在は、「採用のチャンス」です。実際に有効求人倍率は大きく低下しており、未経験求人も減っています。しかし、コロナが収束し、他社が採用を活発化させる頃には、再び採用は難しくなります(少子高齢化など構造的な問題は変わりませんので)。
こんな時期ですが、助成金を活用しつつ、「他社に一歩先んじて」採用と育成に取り組むのも1つの選択肢であると考えます。
※本コラムの内容は、執筆時点で公表されている情報や施行されている法令に基づきます。